CRESCENT LAMENT “Behind the Lethal Deceit”

CRESCENT LAMENT “Behind the Lethal Deceit”

販売価格: 1,600円(税込)

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かつてここまで深い悲しみを湛えたバンドは存在したであろうか。歴史に翻弄され、中国からの脅威にさらされ続ける台湾より、微かに見える希望にすがるがごとき涙から産み落とされた悲哀のゴシック・メタル、 CRESCENT LAMENT、ついにデビュー。

世界は何度同じ過ちを繰り返すのか
私たちはもう十分に経験してきただろうに

独裁者によって操られた戦争により引き裂かれていく家族と恋人。胸をえぐる絶望的な物語を通して戦争の愚かさを伝えるアルバム『Behind the Lethal Deceit』。
悲壮感に包まれた女性ソプラノ・ヴォーカリスト、哀情が滴るヴァイオリンの旋律、不穏な空気から劇的な喪失感を生み出すキーボード。終戦が近いことを信じて果敢にも進軍する情景を描き出すギターとリズム隊。けれどもこの救いのない物語の結末は、最初の一小節の旋律ですでに決まっているように思う。

8月17日
「ケイト。僕は戦場へ駆り出されることになった。あちらは激しさが増していると聞いているけど、兄弟のアルフレッドも一緒だし、これは君を守るためだと信じているから。それに、リーダーの話ではクリスマス前には戻れるはずなんだ。だからその時は、以前から計画していた旅行に行こう」

11月24日
「ジョセフ。あなたが戦地へ赴いてから100日。政府の言うことなんてただのプロパガンダ。昨夜、あなたと一緒にしていたように、川べりに座って星を見上げていたら今年最初の雪が舞い始めたわ。その瞬間、あなたとの想い出が胸いっぱいになって涙がとめどもなく溢れてきたの。あなたのいない冬は寒すぎる。どうか、どうか無事でいてください」

12月24日
「ケイト。アルフレッドがやられた!兄弟の命すら守れないなんて、俺はなんて役立たずなんだ。それからクリスマスの旅行だけど、約束を守れなくてすまない。今日はクリスマス・イヴだというのに、君や家族のことを想うと際限のない悲しみに暮れてしまう。君が恋しいよ。また二人で会える日が来るだろうか」

12月31日
「ケイト。これが最後の手紙だよ。僕らは敵の罠にかかって孤立してしまった。敵は遥かに優勢で、徐々に迫ってきているんだ。だから、この苦しみも間もなく終わる…… 今朝、君との楽しかった想い出を手繰ろうとしたけれど、駄目なんだ。このキチガイじみた戦争の血にまみれた映像が僕の心を曇らせてしまう。僕らは命令通りに祖国を想って忠実に戦ってきた。けれど、結局のところ使い捨ての駒にすぎなかったってこと。とんでもない嘘っぱちだったのさ。 政治家達は僕らを弄び、何百万の青年が死んでも涙のひとつも見せやしない!きみと一緒に過ごした時間は僕の人生の中で最も美しい想い出だよ。でも、それもすべて消えていくんだね。これで最後だ。さよなら、愛しい人」


2011年リリース。

インターネットラジオ「Cinta KecilのASIAN ROCK RISING」
vol.76の4曲目でVictims of Discrepancyを紹介しております。
最新の放送以外はスティッカム・プレイヤーのMenuからミュージックへ進み、お聴きになりたい過去の放送をクリックしてください。


収録曲
01. Intro- To the Freezing Hellgate 2:42
02. Pathetic Scenario 5:15
03. Victims of Discrepancy 5:26
04. Orphaned Warriors 5:09
05. Fearless Assault 5:19
06. Expiation 2:55
07. The Deepest Despair 6:11
08. Don't Forget Me 4:30
09. Compromised Wills 6:01

以下はFM yokohamaの番組『ROCK DRIVE』のブログ内コーナー「アジアン・ロック通信」用に書いた文章です。
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2011年の東日本大震災で莫大な義援金を届けて日本を支援してくれた台湾。 大航海時代にFormosaと呼ばれた島。そこは、かつて日本でも高砂国として知られていた地。最近では、日本でもかなりの人々が台湾を意識するようになってはいるが、CHTHONICが傑作『高砂軍』というアルバムを昨年リリースしていることから、メタル・ファンにとってはさらに身近に感じる存在かもしれない。

すでにご承知の通り台湾は、オランダ統治、鄭氏政権、清朝統治、日本統治、その後も南京国民政府、台湾国民政府の独裁政治があり、その間の民族紛争等、とても複雑な歴史を歩んできている。この数世紀、強大な外圧に翻弄され、今でも中国から政治的、軍事的脅威にさらされているその台湾から、昨年末にとても興味深いバンドがデビュー・アルバムを発表した。

その名はCRESCENT LAMENT。彼らはその悲しく暗い、けれど僅かな希望の光が揺らいでいるような台湾の歴史から生まれる独自の感情を、女性ソプラノを有するゴシック・メタルで表現しようというのだ。

バンドの結成は2007年2月28日。台湾の2月28日といえば平和記念日だが、それは台湾大虐殺、つまり二・二八事件が元になっている。台湾人なら誰しもが感じている平和への願い、二度と繰り返していはいけない歴史。それを意図して彼らはこの日を選んでいるのだ。

結成の翌年、バンドはすぐに2008年にはEPやデモを発表しているが、その後はフル・アルバム制作のために3年の歳月を費やすことになる。その綿密に練られたアルバムが2011年11月に発表された『Behind The Lethal Deceit』だ。このアルバムはバンドの想いである反戦をテーマにしており、バンド側が創作したとある戦争物語を通して、聴手に平和について考える機会を与えている。

「徴兵されたジョセフは恋人のケイトを祖国において8月に兄弟のアルフレッドと共に激化する戦地へと送り込まれる。ジョセフはケイトとクリスマス旅行を計画していたが、戦争を指揮する者の話では冬が来る前にはこの戦争は終わるという話があり、それを信じていた。けれども悪化の一途をたどる戦場。ケイトは一人、戦地から遠く離れた静かな思い出の場所で、何処にいるかも知れないジョセフを心配して悲しみに暮れる。けれどもジョセフから送られた12月24日付の手紙にはアルフレッドの訃報が、そしてその直後の12月31日付の手紙には周囲を敵に包囲されたジョセフからの最後の言葉が記されていた」

戦時中、貪欲な独裁者の駒として弄ばれた、ごくありふれた一人の若者とその恋人を中心に描かれる救いのない物語だ。メイン・ソングライターであるドラマーのKomet Chouは、台湾の歴史的背景と共通項の多い90年代に起こったユーゴスラビア紛争に触発されて、調和のとれた共生の大切さと暴力の愚かさを伝えるために、この独自の物語を書き上げたという。

かなり細部まで感情移入して創り上げられた作品だが、楽曲自体も情念が込められており、ギターとリズムで戦場の激しさや緊張感、ケイトの悲しみ、ジョセフの嘆きといったものが、悲観に濡れたMuer Chouのソプラノ、愁傷的なピアノやヴァイオリンの旋律で物語の場面場面を鮮烈に表現している。ここまで胸の内に入り強烈な印象を残す悲劇的なメタルもそうは存在しないだろう。是非、歴史的背景を踏まえながら『Behind The Lethal Deceit』に込められた彼らのメッセージを考えてみて欲しい。

CHTHONICのDorisも台湾の推薦できるバンドのひとつとしてCRESCENT LAMENTの名を挙げているようだが、久しぶりに感情を揺さぶられる作品に出会った。
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