NU.CLEAR.DAWN “Poem Of A Knight”

NU.CLEAR.DAWN “Poem Of A Knight”

販売価格: 1,600円(税込)

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ちくしょう、芝居がかってやがるぜ。どうせ芝居をするなら命がけじゃなきゃ駄目だ。俺だってこうやって死んでみたい。男の浪漫をくすぐる憎いコンセプト・アルバム。

そう、ロマンスはいつだって歌劇のようであるべきなのだ。

NU.CLEAR.DAWNが放った『Poem Of A Knight』 。これこそが、メタル・バンドの活動が困難なシリアで、きちんとした製品として正式に発表された初のメタル・アルバム。幾多の制作環境の困難を乗り越え、作り上げたのは愛と誇りを貫く男の美学を描いた様式美プログレッシヴ・メタル。
フルートやセロをゲストに迎えてのクラシカルかつ壮麗な序曲から最後の大舞台まで、めくるめくドラマ、まさに劇的! DREAM THEATER、SYMPHONY X、SAVATAGE、DIO、NIGHTWISH、QUEENSRYCHE、RHAPSODY等の影響を受けたプログレ・メタルが展開されるが、必要以上のテクニックにはしることなく、美味しいとこ取りで耳を引く良いメロディを紡ぐ事に力をいれており、今時のモダンさやダークさを押し出したサウンドではない、ひと世代前の90年代中期頃の感覚が心地良さを覚える。マニアならばコレクションに加えて頂きたい一枚。

〜Poem Of A Knightのあらすじ〜
物語はオペラ・シンガーであるLuisとAnnaがパーティで出会う事から始まります。二人は瞬く間に恋に落ち、再会の約束をするのですが、Annaは王様の娘。高貴な王は自分の娘の相手にLuisは相応しくないとし、二人の間を引き裂こうと密かに使いの者をやるのです。しかし、二人はそんな王のもくろみをを見抜き、果敢にもLuisは王様に立ち向かう事に決めました。
ちょうどその頃、革命が勃発。LuisはAnnaの父親である王に抵抗する軍隊に加わって戦うのです。しかし、彼は激しい戦闘で深手を負い意識を失ってしまいます。
次にLuisが目を覚ましたときには、戦地から離れた安全な場所で母親のような慈悲深さを持ってAnnaに介護されていました。
けれども、無情にも悪化していく彼の傷。Luisは自分の命が長くは持たない事を悟り、Annaに、自分を育んでくれたオペラ劇場の舞台に今一度立たせて欲しい、と最後の願いを告げました。劇場へ向かう道すがら、彼はこれまでの人生、そしてAnnaの為に行ったすべての事を思い出し、自分の想いの充足感にわずかに一歩近づいた事を感じ取るのです。そして、ついにAnnaの手によって舞台に導かれたLuisは、一人孤独にして孤高の誇り高い歌を誰もいない劇場に舞い上がらせ、永久にその存在を刻み込みます。
はたして命の灯火は燃え尽きるのでありました。

インターネットラジオ「Cinta KecilのASIAN ROCK RISING」
vol.77の4曲目でFalcon And Crowを紹介しております。
最新の放送以外はスティッカム・プレイヤーのMenuからミュージックへ進み、お聴きになりたい過去の放送をクリックしてください。

2003年リリース。

収録曲
01.Overture 4:56
02.The Meeting 8:24
03.Falcon And Crow 8:34
04.Revolution 8:05
05.Horses Of Steel 6:52
06.Wounded 6:41
07.Memories On The Road 7:40
08.Rebirth 8:01

以下はFM yokohamaの番組『ROCK DRIVE』のブログ内コーナー「アジアン・ロック通信」用に書いた文章です。
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ついに4月となり、遅れていた桜の開花も始まって何もなくとも桜を見るだけで晴れやかな気分になりますが、何もないどころか今月からは来日ラッシュとなっていてライブの予定だけでスケジュール帳が埋まりそうな勢いに圧倒される。そんな中、デビュー20周年となるROYAL HUNTも5月15日大阪クラブクアトロ、16日東京O-EASTと来日が決定しているので楽しみにしている人も多いだろう。DC Cooperが復帰した新作『Show Me How To Live』は、ひょっとしたら日本人だけがそう感じるのかどうかわからないけれども、何とも落ち着くところに落ち着いたような安心感のあるサウンドで、個人的には疲れたときに幾度となく手がのびてしまうアルバムとなった。

さて、その『Show Me How To Live』のアートワークは騎士が描かれているが、アートワークが騎士繋がりってことで、今回はシリアのNU.CLEAR.DAWN。

シリアと言えばここ日本では古代文明や石鹸のイメージが強く、メタル・バンドの話はあまり聞くこともないと思う。けれど、シリアにメタル・バンドが存在しない訳ではない。ただ、極端に活動がしづらいのだ。時はすでに21世紀だが、シリアの音楽界のほとんどはアラブ音楽で、政府はロックやメタルという音楽を悪魔崇拝と深く関連づけており、コンサート会場はその儀式の一端と見なす傾向があるようだ。NU.CLEAR.DAWNのギタリスト、Shant Hagopianの話によれば、バンドはコンサートを開催するには、大量の書類に署名をもらう必要があるために政府のあらゆる部署を駆け回るようだが、そこに費やす時間と労力は大変なものだという。

そんな状況では、世界に出てくるようなバンドが育たないのも頷ける。それどころか、最近まではアルバムをリリースするのもままならなかった。というのも、NU.CLEAR.DAWNが2003年にリリースした『Poem Of A Knight』というアルバムこそが、シリアで初となる公式に発売されたメタル・アルバムとして認知されているからだ。もちろん、それ以前に音源を出すメタル・バンドは存在していたようだが、アルバム・ジャケットや歌詞がないカセット・テープで、さらにはスタジオですら録音されていないものだったという。ということは、このアルバムこそが世界基準で制作されたシリア初のメタル・アルバムということで間違いないだろう。実は、アルバム制作を担当したサウンド・エンジニアもメタルを録音してミックスするのはこのNU.CLEAR.DAWNが初めてだった。何しろ、当時のシリアではメタルという音楽を制作した経験のあるエンジニアは存在していなかったというのだから。

そんな手探りに近い状態で制作された『Poem Of A Knight』ではあるが、DREAM THEATERやSYMPHONY X、NIGHTWISH、RHAPSODY、SAVATAGE、QUEENSYCHE、そしてDIOあたりを手本に、なんともマニア好みのする様式美を盛り込んだ劇的なプログレッシヴ・メタルとなっている。確かに音質は良いとは言い難いが、昨今のデジタル的で音圧を上げまくったヘヴィでギラついた音ではなく、90年代初期から中期にかけてのマイナーなバンドにあったような雰囲気を醸し出していて、逆に変な郷愁と心地よさを感じてしまう。そして、それが悪いと言っている訳ではないが、21世紀のプログレッシヴ・メタルにありがちの機械的な演奏とダークな雰囲気とは真逆の人間味のある演奏と技巧だけに走らず、良いメロディを紡いでいく姿勢をこのバンドは持っており、とても和んでしまう。現代的なプロダクションにならなかったことで、NU.CLEAR.DAWNの持つ温かみがかえって浮き彫りになったのだろう。

ところで、この『Poem Of A Knight』はそのドラマティックな楽曲が頷けるまさに劇的なコンセプト・アルバムだ。オペラ・シンガーのLuis、そして時の王様の娘であるAnnaの二人が出会い恋に落ちる場面から物語は始まる。Luisを快く思わない王様は二人を引き裂こうとするが、Luisは愛を貫くために王には屈しない構えをみせる。折しも国は革命に揺れ動き、Luisは王様の勢力に敵対する側の軍の騎士となって戦うのだが、あえなく深手を負ってしまう。Annaの慈愛に満ちた介護を受けるも、傷が悪化していくばかりのLuisはもう長くは持たない事を悟り、自分を育んでくれた劇場へ連れて行って欲しいと彼女に伝える。かくして、Luisは誰もいない劇場に、オペラ・シンガーとしてひとり最後の舞台へ上がっていくのだ。

ベタと言えばベタな物語ではあるけれども、こういう方向の泣きは万国共通にして普遍性がある。この物語、メロディアスで劇的な音楽、そして昔ながらの音の感触にバチっとハマってしまうと、かなり熱いものが込み上げてきてしまう。プロダクションは今一歩かもしれないが、表現していることは一流だ。シリアのメタル・シーンの重要作品である。
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