EVOCATION 招魂 "天靈靈 地靈靈"

EVOCATION 招魂 "天靈靈 地靈靈"

販売価格: 1,800円(税込)

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商品詳細

天靈靈 地靈靈
悪しきものどもを断ち切り
抑圧された魂を解き放て
急急如律令

香港のエクストリーム・メタル界を支えるEVOCATION 招魂が放つ、5年降りのアルバム。前作にみられた生々しく荒涼感たっぷりのメロディックなブラック・メタルは影を潜め、より強靭なデス・メタル要素を色濃くし、中華的なアンビエンスを取り入れた意欲作。
英国植民地政府の手を離れて以来、香港内で起こってきたSARSの蔓延、景気低迷、人々の間での紛争や緊張、封建社会という状況を憂い、それでもこの地で生き延びる術を模索する。そして、“天靈靈 地靈靈”という咒文を唱えることにより、“迷信的な力”もしくは他の“存在”の手を借りて、悪化してゆく香港の社会をなんとか食い止めるようとする念の込められた作品。

再びの安寧と正義を取り戻す
たまふりの儀

2013年リリースの2ndアルバム。

Fm yokohama ROCK DRIVEのブログ内のコーナー、アジアン・ロック通信61にて紹介してます。

収録曲
01.戰魂序 2:00
02.越空復仇 5:00
03.兵荒馬亂 4:22
04.黄土 6:12
05.天靈靈地靈靈 6:24
06.不滅皇朝 5:50
07.改朝換代 4:50
08:長生不死 3:26
09.神話 6:06

以下はFM yokohamaの番組『ROCK DRIVE』のブログ内コーナー「アジアン・ロック通信」用に書いた文章です。
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香港という地でヘヴィな音楽性のバンド活動を長年に渡って継続していくのは容易な事ではない。だからこそ、昨年春に香港へ赴いた時に、しばらく目立った活動が見られなかった彼らにどうしても会っておきたかった。

そのバンドとはEVOCATION。またの名を招魂。2002年に結成されたこのバンドは2008年にデビュー・アルバム『Take Your Soul』を発表。音楽性はメロディアスながらもブラック・メタル色の強い生々しい音像と荒涼感、そして少しばかりDISSECTIONからの影響を感じさせるようなものであり、歌詞の内容は、現実世界における偽善についてや、社会の発展が及ぼす苛立ちや人格形成についてを取り上げていた。

あまりエクストリーム・メタルとは縁がなさそうに思える香港という土地から、良作を生み出すバンドの出現に開拓精神のあるメディアやマニアが着目しないはずもなく、EVOCATION 招魂は主に東アジア圏のライブ、メタル・フェスティヴァルに出演しながら知名度を上げてゆく。なお、彼らが参加したいくつかのフェスティヴァルでは日本のバンドも参加して同じステージを踏んでいるので、ここ日本でもEVOCATION 招魂の名をご存知の方は少なくないと思う。

ところが、2011年中頃から彼らの名前を見かける機会が少なくなってきた。香港のシーンを考えれば特に騒ぐ程の事でも何でもないが、静かに消えて行くパターンもないわけではない。2作目のアルバムの話もあまり聞かないので2012年に香港を訪れた際にメンバーに話を聞いてみた。すると、メンバー・チェンジをして新作のデモを制作している最中で、早ければ2013年初頭ぐらいには発表できるかもしれない、とのこと。ひとまず安心して新作の完成を待つ事となった。

そして、今年春に約5年振りとなるアルバム『天靈靈 地靈靈』がついに発表される。4月20日、彼らはアルバム・リリース・パーティとしていくつかの前座を従えてライブも行っているが、普段のエクストリーム系のメタル、ハードコアのライブ等で見かける以上の多くのメタル・ファンがその場に集ったと聞いている。ファンが彼らの新作にどれほど期待していたのをここに見て取れるだろう。

さて、その新作『天靈靈 地靈靈』。今のところ、新作に対しては酷評されることなく、ユニークだと言う意見が寄せられているようだが、戸惑いもあるのではないかと、メンバー自身は分析している。というのも、少しばかり作風に変化があったからだ。メンバー・チェンジにより、前作との期間が空いてしまったが、実際の作業期間は約2年。その間、『天靈靈 地靈靈』の全体の雰囲気を構築する為に、様々な音楽や映画を観たという。ここにメンバーが挙げてくれた例を羅列しておく。音楽は、HYPOCRISY、BEHEMOTH、OPETH、HANS ZIMMER、STEVE JABLONSKY、LAMA GYURME、PHILIP GLASS、川井憲次。映画に関しては、Kim Ki Dukを始め、Wan Ka Wai、Ridley Scout、David Fincher、Jonnie To等の作品。実は、新作では以前あったブラック・メタル的な要素は若干薄れ、どちらかと言うと、より骨太なデス・メタル寄りの音作りがなされている。しかし、メイン・ソングライターであるTomy(vocal/guitar)の持ち味自体は変わっていない為、EVOCATION 招魂というバンドの支柱は揺るぎなく、根底にはEVOCATION 招魂ならではのサウンドが貫かれている。また、映画から得たアイデアかもしれないが、今回の大きな特徴の一つとして、オーディオ・プログラマーを参加させて、作品の雰囲気をより高めるためのミステリアスかつダークなアンビエント・サウンドがそこかしこに散りばめられ、その効果は大きい。

さらに、『天靈靈 地靈靈』というタイトルから察しがつく通り、今回は広東語にて歌詞が書かれている。“天靈靈 地靈靈”というこの言葉。陰陽道やキョンシー映画を通して触れた事もある人も多いだろうが、中華圏に古くから伝わる呪文だ。英国植民地政府の手を離れて以来の香港の状況を香港人は嘆いているというのはよく聞く話で、EVOCATION 招魂のメンバーも、本当は香港は良い街だとしている上で、同じように感じている。ただ、問題はそれだけではなく、2003年のSARS問題、さらには2008年に景気が低迷したことも大きな原因だとしている(しかし、そのような困難な状況下において、香港人たちの結束力がより強まったという話もしてくれた)。そこで出てくるのが、この“天靈靈 地靈靈”という呪文。“迷信的な力”もしくは他の“存在”の手を借りて、悪化している香港の社会をなんとか食い止めることが出来れば、とメンバーは考えているのだ。そして、そのような香港の社会をどのように理解し、どうやってこの地で生き残っていくのかをテーマに今作の歌詞は書かれており、抑圧されながら生活している人々が、このEVOCATION 招魂の音楽を介して解放されることを願っているというのである。よって、EVOCATION 招魂は、バンドと同じ思いを持つ人々が容易にその事に気づけるように広東語の歌詞にしていたのだ。

『天靈靈 地靈靈』、非常に強い念の込められた作品である。そして、香港にEVOCATION 招魂あり、と知らしめる素晴らしい品質の作品だ。
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