METHKAMEL "20th Century"

METHKAMEL "20th Century"

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かつてスラッシュ・メタル・バンドMAHATMAで活動していたソ・ジノ(ヴォーカル、ギター)が長年の友人であるベーシストのチャン・ヒョニル(ハードコア・バンドJACK IN THE BOXで活動していた)と共に2015年に結成された少々風変わりな要素を含む韓国のヘヴィ・メタル・バンド、METHKAMEL。

このMETHKAMELで作曲の主導権を握るソ・ジノは、たしかにスラッシュ・メタル・バンドに在籍してはいたが、ジョン・サイクスやマーティ・フリードマンといったギタリストを敬愛し、SAVATAGEやCAMELといったバンド、そして前衛的な音楽を好む。一方でチャン・ヒョニルはどちらかといえばシンプルなものを好むため、その狭間で独創的なヘヴィ・メタルが出来上がっている。

全体の音楽性はパワー・メタルとモダン・ヘヴィメタルを基調としたものだが、時折、バンドはメタモルフォーシス・メタルと表記されることもある。これをわかりやすく言えば、「貪欲でひねくれた(正道から外れた)音楽だと考えてもらえればいい」とソ・ジノは言う。

では、貪欲さとはなんだろうか。それは以下の言葉に表れている。「俺はアートロックやサイケデリックな音楽がものすごく好きでさ、たとえば日本が誇る巨匠、喜多郎の荘厳なシンセサイザー・サウンドとか。それでも俺がメタルをやる理由は、さまざまな要素を結合して表現できる魅力的な音楽だからなんだ。今後はもっと大胆な試みをしてみたい」

“さまざまな要素を結合する”、この感覚は、彼の好きなCAMELを引用したバンド名(ここではドイツ語のKAMELに変化させている)にも表れている。「このバンドは実験的でありながらも伝統的な音楽に、MethodologyとCamelを合わせたチームということ。完全に新しいアプローチではなく、長く親しまれてきたリフや叙情的なメロディーが特徴なんだ」

そんなMETHKAMELが、HELLIONで活動していたパク・ジオン(ギター)とナム・チョルウ(ドラム)を2019年に迎え入れ、2020年に1stアルバム『20th Century』を発表した。

アートワークのモチーフとなったのは偽り欺いた“トロイの木馬/トロイアの木馬”である。「アルバムのコンセプトは、主に風刺的な現実を表現することだった。世の中で生きていく方法のひとつは、自分を隠し、妥協の言葉で生きていくことだ。痛みや苦しさ、自立した人生を送りたいという願望があっても、実際はそれを心に隠して生きている」とのこと。皮肉とも言える現実の辛辣さを表現しているわけだ。

ここでいくつかの曲を選び、その主だったテーマをソ・ジノに説明してもらった。

「Thin Ice」は歌詞からわかるように、誘惑に負けず、意志を強く持て!!ということ。世界は薄い氷で覆われている!!「99.9」は無限の欲望に囚われず、心の庭を耕しながら生きるべき、という、ゆったりとした人生観を表現している。「Redkamel」はアメリカ大陸の先住民たちの悲しみを表現している。ヨーロッパ人による、自由で平和だった生活への干渉と侵略について。「Plainmadness」は我々が住む地球を飛行船に見立てている。たとえ狂気じみた不満を抱えた人生を送っているとしても、宇宙規模では等しく平等であり、この飛行船に乗って非常にゆっくりとしたスピードで宇宙を悠然と旅しているんだ。

このように、METHKAMEの歌詞は人生を大きな視点から見たり、鼓舞、または助言するもの、さらには歴史的な出来事まで多岐に渡る。

では、ミュージックビデオが制作された「6:913」〜「20th Century」に関してはどうなのだろうか。ここでは20世紀に幾度となく勃発した戦争の映像が使用されている。

まずはイントロの役目を担う「6:913」について、「マタイによる福音書6章9節から13節。そこには、何か恐ろしいことが起こるのを予期しているかのように主に祈る気持ちや、祈りという切実な絶望の旋律から来る悲しみが込められている」と説明してくれた。

そして予見されたとおり、その祈りは皮肉にもサイレンでかき消されて「20th Century」が始まるのだ。この曲の後半には子どもたちの歌声も挿入されている。それは希望か、すがる想いか。はたままた……「戦争を経験したことはないけど、その計り知れない恐怖と戦慄は、いかなる言葉でも表現できないものだと思う。流行のように続いた戦争の飽和状態の中で、極限の痛みと苦しみ、無意味な平和、力ない子どもたちが歌う短い歌詞……。それは、そのすべてがいかに虚しいものであるかを表している。また、皮肉なことに戦争を通して部分的な成長もあり、人の営みには本当に計り知れない部分が多い」

ほんの少し尋ねただけでこのような回答が返ってきた。それだけソ・ジノはMETHKAMELというバンドに重きを置いていることがわかる。このように、ソ・ジノ率いるMETHKAMELはお気楽なバンドとはかけ離れていることからリスナーとしては真摯に向き合うことを余儀なくされるかもしれないが、音楽だけに焦点を絞っても、METHKAMELならではの個性を韓国のメタル界で確立しようとしていることも注視すべきだろう。

なお、「Astrology」と「Horizon End」には、女性ロック・バンドMANNEQUEENのレンがゲストで参加している。

1stアルバム。
2020年発表。 

01.Thin Ice 5:06
02.Wry Reality 6:40
03.99.9 5:34
04.Redkamel 4:09
05.6:913 1:26
06.20th Century 6:13
07.Astrology 5:11
08.Plainmadness 5:42
09.Horizon End 5:34

サンプルは「6:913」~「20th Century」のMV。

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